AIが身近になると、企業の働き方はどう変わる? Apple Intelligenceから考えるこれからの仕事

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當摩 奈央

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AIは、もっと仕事のすぐそばへ

9月9日に新型iPhoneが発表されましたね。Apple初の折り畳みiPhoneが発売されるということで情報解禁を待ち望んでいた方も多かったのではないでしょうか。
新型iPhoneの登場とともに、Apple独自のAI「Apple Intelligence」にも新たな機能が追加されました。

Apple Intelligenceとは、iPhoneやiPad、MacなどのApple製品に組み込まれたAIです。
文章の作成や情報の整理、画像の編集など、普段使う端末やアプリの中でさまざまな操作をサポートします。

今回はApple Intelligenceを一つの例に、生成AIによって企業の働き方はどう変わるのかを考えてみたいと思います。

とはいっても、「仕事で使うパソコンはWindowsだから、Appleの話は関係ない」と思う方もいるかもしれません。
しかし、社給携帯やプライベートではiPhoneを使っているなど、Apple製品が身近にある方も多いのではないでしょうか。

そんな普段使う端末やアプリの中にAIが組み込まれたら、私たちとAIの付き合い方も変わるかもしれません。

「AIを使いに行く」のではなく「普段使っている場所にAIがいる」
Apple Intelligenceの新機能から、そんな変化が見えてきます。
では、AIとの距離が近づくことで、企業の働き方も変わっていくのでしょうか。

Apple Intelligenceに見る、仕事に溶け込むAI

今回追加された「Apple Intelligenceの新機能」を見てみると、AIがこれまで以上に日常的な操作の中へ入りこんでいることがわかります。

例えば「通話のコンテキスト」では、法人の番号に電話をかけると、メールやメッセージ、カレンダーなどから関連情報を探し、通話中の画面に表示します。
Appleが例として紹介しているのは、航空会社へ電話した際に、メールに届いていたフライトの確認コードを自動的に見つけて表示する例です。
通話相手の電話番号をもとに企業を特定し、関連する情報を探す仕組みになっています。

これまでは電話をする前に必要なメールを探したり、情報を確認してから電話をかける。あるいは、通話中に「あの件どうなってたかな」とメールを検索することもあったでしょう。
こうした「情報を探す」という小さな作業を、AIが先回りしてくれるようになります。

もう一つ興味深いのが、メールやメッセージの内容に応じて次のアクションを提案する機能です。
これまでの会話の内容をもとに、カレンダーへのイベント追加やリマインダー、メモの作成、写真の検索などを提案し、ワンタップで次の操作に移れるようになります。
※現時点では英語での提供のみ

一つ一つを見れば、これまで人が行っていたのは「探す」「別のアプリを開く」「入力する」といった小さな作業です。
しかし、一日の仕事を振り返ってみると、こうした細かな作業は意外と多いのではないでしょうか。

Apple Intelligenceの新機能から見えてくるのは、大きな仕事をAIに丸ごと任せる未来だけではありません。
これまで当たり前のように人が行っていた細かな操作に、少しずつAIが入り始めているという変化です。

「生成AIはもう使っている」という方へ

一方で、「AIで仕事がラクになる」という話そのものに、あまり新鮮さを感じない方もいるでしょう。
メールの文章作成、会議内容の整理、資料の要約、情報収集などは、すでにChatGPTをはじめとする生成AIを使って行えます。

私自身も、最近では文章作成や情報収集など、様々な場面で生成AIを使っています。
そのため「生成AIを使うために別のサービスを開く」という行為自体をそこまで負担だと感じることはありません。
すでに生成AIを日常業務に取り入れている人からすると、Apple Intelligenceの機能を見ても「似たようなことはすでにやっている」と感じる部分もあるでしょう。

では、AIが端末や普段使うアプリに組み込まれることは、どのような意味があるのでしょうか。

AIが「いつもの仕事」に入ってくる意味

生成AIを使い慣れている人は、「この作業ならAIに任せられそう」と考え、AIに指示することができます。
一方で、すべての人がそのように生成AIを使っているわけではありません。

「何をAIに頼めばいいのかわからない」「どう指示すればいいのかわからない」と感じる人もいれば、そもそも普段の仕事の中で「ここでAIを使おう」と考える機会が少ない人もいるでしょう。
そこで、Apple Intelligenceのように、AIが普段使っている端末やアプリの中に組み込まれることに意味が出てきます。

わざわざ「AIを使おう」と考えて別のサービスを開くのではなく、電話をかければ必要な情報が表示され、メッセージを読めば次の操作が提案される。
「人がAIを使いに行く」のではなく、「普段仕事をしている場所にAIがいる」

この距離の変化によって、AIを使うためのハードルは少しずつ下がっていくのかもしれません。
では、AIとの距離が縮まり、日常の細かな作業を任せられるようになると、企業で働く私たちの仕事はどう変わるのでしょうか。

AIで変わる、仕事の時間の使い方

AIを活用すれば、これまで人が行っていた作業にかかる時間を減らせる場面があります。

文章をゼロから考える。長い文章を要約する。必要な情報を探す。集めた情報を整理する。
こうした作業は、生成AIによって短縮しやすくなりました。
ただし、AIを使えば、これまで作業にかかっていた時間がすべてなくなるわけではありません。

私自身、最近では情報収集にも生成AIを使うことが増えています。
知りたいことをひとつひとつ検索するよりも、生成AIに聞いたほうが短時間で情報を整理できることもあります。

一方で、仕事で使う情報となると、AIが出した答えだけを見て終わり、というわけにはいきません。

「この情報はどこから出てきたのか」「一次情報なのか」「現在も正しい情報なのか」と確認する必要があります。
そのため、最初から「一次情報を中心に」「情報元を示して」と条件を加えて生成AIに依頼することもあります。
過去のコラムでも、生成AIの回答をそのまま使うのではなく、出典を確認し、最後は自分たちで判断することの大切さをご紹介しました。▼
「【AI活用のコツ】生成AIの回答を自分の成果物に変えるためには」

こうして考えてみると、AIによって「探す」「まとめる」時間は減っても、「確かめる」「判断する」という仕事までなくなるわけではありません。
むしろ、AIによって変わるのは、仕事そのものよりも、人が仕事の中で時間を使う場所なのかもしれません。

情報を探したり、文章の下書きを作ったりする時間が減れば、その分、集めた情報をどう活かすか、何を伝えるべきかを考えることに時間を使えます。
さらに、顧客とのコミュニケーションや社内での意思決定など、人がより時間をかけたい仕事に注力できるでしょう。

ただ、AIによって時間が生まれれば、自動的に働き方が変わるわけではありません。

「AIで何ができる?」より、「どの業務を変えたい?」

新しいAIが登場すると、つい「何ができるのだろう?」という機能に目が向きます。
今回のApple Intelligenceについても、「こんなことができるようになった」という情報を見て、自社の仕事でも使えるか考える方は多いでしょう。
もちろん、新しい機能を知ることもAI活用のきっかけになります。
しかし企業としてAI活用を考えるなら、「AIで何ができるか」だけではなく、「自社ではどの業務を改善したいのか」という視点も必要です。

たとえば、「AIでメールを書けるから使ってみよう」ではなく、「メール作成に時間がかかっているので、その時間を減らしたい」と考える。
「AIで情報収集ができるから使う」ではなく、「情報を探して整理する工程に時間がかかっているので、その一部をAIに任せられないか」と考える。

AIを起点にするのではなく、業務の課題を起点にすることで、AIに任せる仕事と、人が時間をかける仕事も見えやすくなります。
そして、その答えは企業によって異なります。
すでに生成AIを日常的に使っている企業もあれば、個人では使っているものの業務利用はこれから、という企業もあるでしょう。

だからこそ、新しいAIが登場するたびに機能を追いかけるだけではなく、自社ではどう活かせるのか、その先で仕事がどう変わるのかまで考えることが大切です。

AIで生まれた時間を、どう活かすか

Apple Intelligenceのように、AIはこれからさらに普段の仕事の近くへ入ってくると考えられます。

しかし、便利なAIが身近になっただけで、企業の働き方が変わるわけではありません。

大切なのは、自社の仕事の中で、「何をAIに任せるのか」を考えること。
そして、そこで生まれた時間を、人がどのように活かすかを考えることです。

AIによって作業時間を減らし、その分を判断やコミュニケーションなど、人が担う仕事へ注力することができれば、AIは単なる便利なツールではなく、
働き方そのものを見直すきっかけになるのかもしれません。

新しいAIが登場したとき、「何ができるようになったのか」に目を向けるだけではなく、「自社では何をAIに任せ、人は何に時間を使うのか」という視点を持つことも、
これからのAI活用では必要になりそうです。
新しいAIのニュースをきっかけに、一度、自社の仕事とAIとの関係を振り返ってみてはいかがでしょうか。

自社に合った生成AI活用を考えるなら

自社のどの業務に生成AIを取り入れるのか、どのように活用していくのかは、企業によって異なります。

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